〜橋本大二郎氏が描く日本の「未来」像とは〜
文責:副会長 小林武史
「橋本総理大臣の施政方針演説」、これが本書の読み終えた後の感想である。近い将来行われる衆院選に向けて、橋本氏自身がこれから目指すべき日本のあるべき姿を国民に提示するという意味では本書は大きな意義をもつ。
氏は今の政治状況を相撲に例え、困難に直面する今の日本に対して行司役や桟敷席からやじるだけの人が多いと嘆く。またイラクで起きた日本人人質事件とその後の元人質へのバッシングを例にとり、日本社会が大らかな気持ちで若者を育てていく寛容さを取り戻さないと「次に続く志の芽は摘まれてしまう」と警鐘を鳴らす。どちらにも共通するのは、自分自身の身を「安全な場所」に置き、無責任な態度で「危険」な第一線で頑張っている人の足を引っ張ろうとする現在の日本人の態度である。このような状況の中、自らその批判・非難の第一線に立ってでも、理想の社会実現のために尽くそうという氏の考えには共感する。
一方、本書で提示された氏の大きな理念を今後どう具体策に落とし込み、それをどう実現していくか、氏に課された課題は多い。特定の政党に所属していない一匹狼の氏が仮に当選した場合、国会でどのように活動していくのかということについては、本書でも明確にはされていない。仮に第三の勢力結集を目指すにしても、現在の小選挙区制度でその実現が難しいことは少数政党の衰退を見れば明らかだし、ビジョナリー(明確なビジョンを持った人)である氏が個別の細かい各論に専念することは考えられない。氏の理念を全て具体化するには政党とは言わないまでも、それを支える専門家集団がチームとして氏を支えるような体制が必要だ。果たして「チーム大二郎」とでもいうべき、実務を担う集団は準備されているのか。
そして高知一区の有権者に対して、氏のイメージが分かりにくいという問題がある。福井氏=公共事業、春名氏と田村氏=医療、社会保障という確固としたイメージがある中で、氏が強く訴える「地方分権」が、有権者にとってどれほど日々の仕事や生活に根付いた形で届いているかは不明だ。本書でも訴えているように、「地方分権」という一見抽象的な概念を、どれだけ具体的に提示し有権者の共感を得ていくか。激戦が予想される次期選挙において、ここが氏の「未来」を決める要素になるのではないかと私は考えている。
本の内容について↓
http://www.boople.com/bst/BPdispatch?isbn_cd=9784833491150
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